house
2014.12.15

行列のできる大家 青木純さーん!もっとしあわせな賃貸にしてください。

volume 1行列のできる大家 青木純さーん! もっとしあわせな賃貸にしてくださーい

  • Textアサイアサミ
  • Photo今井裕治

第三回 大家、その心は、都会で窯マスター(最終回)

エネルギーは住まいにとって不可欠な暮らしの要素です。そしてエネルギーにも自分らしさを求める時代。電力自由化で使うエネルギーを選ぶもよし、ソーラーパネルで自給自足をするもよし、気持ちよく暮らすためにエネルギーを選びたいものです。 …が、賃貸住宅はどうでしょう。 住まいのインフラを整えるのは、住宅の主・大家さん。 OFF-GRID LIFEでは、日本一アメイジングな大家・青木純さんに『大家さんが考える暮らしのエネルギー』について、お話を伺いました。いや、伺うというよりもお願いしてきました、『大家さん、なんかして』と。

第三回 大家、その心は、都会で窯マスター(最終回)

行列ができる大家・青木純さんと「オフグリッドに生きる」ための賃貸住宅を考える連載最終回。
ピザ窯でオフグリッドなピザパーティーを、日常のようにやり続けたらご近所さんよりご指摘をたまわったという、青木純(職業・大家)。青豆ハウス、八世帯の大家として、暮らしの自由、暮らしの楽しさを守るため、立ち上がる!…のか?!

青木:いやいやいや、たしかに都会でピザ窯囲んでピザパーティを連日のようにやるなんて異様な光景だったよね、本当、すみませんでした(笑)。
でも、その時の住人たちのマインドが、大家的には嬉しかったの。普通だったら「じゃあやめよう」ってなるところを「どうやったら続けてできるかな」って、考えてくれるの。楽しいからだよね。そしてご近所トラブルを自分ごととして、住人みんなが考えてくれるって、幸せだよね。こういうご近所トラブルなど、通常は大家さんが一人で背負うだけど、青豆ハウスは僕も住人だから、住まいの問題がね、普通の大家でいるより同じ目線なの。
そういう関係性が、「新しいエネルギー」を使うきっかけになりうると思うし、理解もしやすいんだと思う。
家族っていうとちょっと言い過ぎですけど、やっぱり家族みたいですね。

他人だけど、家族になりうる共同住宅。その中心にエネルギーがある不思議。それは楽しいからだよ、と青木さんは笑う。
ところで、トラブルになったご近所さん、大丈夫でしたか?

青木:たまたま直接お話しする機会があって。ご近所だし、お互い尊重したい。じっくり意見を聞いて、こちらの話もお話ししました。こんな時代だからこそ、100%受け身にならない暮らし方というか。そんな暮らし方を長く楽しめたら嬉しいし、いずれはご一緒できたらものすごく嬉しい。もちろん、楽しいだけじゃなくて、電気やガスが使えないようなときにはお役に立てることもあるかもしれない。そんなお話しをしていくなかで、窯を使うタイミングがわかっていればこちらも対処できるので、と一定のご理解をいただくことができて、今ではお知らせの手紙をお届けするようにしています。

たしかに火をおこせば、煙がたつし、煙の風下に暮らすひとはたまったもんじゃない。そこは絶対に忘れてはいけないし、感謝やお詫びの気持ちは大事。
でも、楽しさを共有して繋がれば、お互いに暮らしの幅が広がっていくような気がします。
さて、大家さん。
「オフグリッドに生きる」ための賃貸住宅、どんな未来図が見えたでしょうか?

青木:やっぱり新しいエネルギーを使うにはコミュニケーションが不可欠だし、新しいエネルギーがコミュニケーションを生むこともある。都会のど真ん中のピザ窯は色んなことを教えてくれたよね。
今度はご近所付き合いをもっと密にして、もっと楽しくピザ窯を使いたい。
そうだな、大家も住人もご近所も世間も世界もハッピーになる、「大家兼ピザマスター」を目指そうかな。どう?

青木さんというアメイジングな大家さんのフィルターを通して見えたものは、共同住宅におけるOFF-GRID LIFEのハードルの高さ。共同住宅のエネルギーは、エネルギーも共同です。ひとりだけ「薪ストーブ」にしたいとは言っても、それが実現できるのは、一軒家に比べても随分ハードルが高いものです。

それは、暮らしが密集している都市にも同じ事が言えるような気がします。
人口が密集して暮らす都会は、街そのものが「共同住宅」みたいなもの。都会でオフグリッドしようにも、都会で隣近所の反対にあって、薪ストーブが使えない。自分だけの屋根がないから、太陽光パネルが設置できない。大家さんがオール電化にしてしまったから、ガスコンロが使えない。

しかし、それは、本当に<できない>のでしょうか?もしかして、人と繋がって「やってみていいかな?」と話してみたら、可能になるかもしれない。不自由というのは、もしかしたら自分自身が生み出しているものかもしれない。コミュニケーションを怠ったことによる不自由かもしれません。

大家・青木さんの信念とも言うべき言葉、「人が集っているのだから、いいことが起こるに違いない」。それは、共同住宅で人が集っているからこそ、できることもある。その前向きな気持ちこそ、「共同住宅だからなにもできない」という既成概念から「オフグリッド」しているのではないでしょうか。

この社会で「オフグリッドに生きる」ということは、もしかしたら人と繋がることにヒントがあると、青木さんが教えてくれました。

難しいからやらない、ではなく、楽しそうなことからやってみる。
その精神は、オフグリッドライフの神髄かもしれません。

この冬が過ぎた頃、
青木さんがピザマスターになったかどうか、また伺ってきます。
「オフグリッドに生きる」ための賃貸、つづきます。

(おわり)