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2015.03.11

Cook 'n' Eat!

volume 2チーズからDIY!な、ピザパーティー

  • Text葛原信太郎
  • Photo伊藤 菜衣子

”やってみた”レベルの高すぎる人たちがつくる、チーズと暮らしの話。[前半]

今回は、暮らしかた冒険家が、札幌で出会った、気が合いすぎる友人たちとチーズをつくるお話。その友人たちとは、 畑で食材をつくるところからカフェを営む「たべるとくらしの研究所」の安斎夫妻と、元農家で子どもと大人への贈り物専門店「BROTHER SUN SISTER MOON」の店主藤田くん。全人類を”やってみた度”で順番に並べたら、相当上位にいるであろうちょっと変な人たちが集まって、どんなチーズができあがるんでしょうか?

見よう見まねでできるし、案外なんでもつくれる

安斎伸也(以下伸也):震災が起きた時、僕は福島で果樹園を継いで、着々と準備を進めている中での被災だったんだよね。桃やりんごなど生産量は多くないけれど、無肥料無農薬の自然栽培でつくり、カフェも軌道に乗り、加工品も手応えありで、さあ本格的に事業化だってときにだったんだ。

藤田:僕は、大学卒業してから働いていた茨城の農場を辞め、親の事業の手伝いと結婚のために札幌に戻って、2年くらいが経ってたかな。農家をやめて出てきたわけだけど、札幌でも自給的な営みができないかと模索していた。

―― 今回登場する5人は、札幌で一緒に畑をやっています。スーパーマーケットから食べものが消えた3.11。お金があろうと、なかろうと、商品がないからには買えない、という事態がありました。そのときにハッとしたのは、あまりにもあたり前に、スーパーマーケットというグリッドの上に生きている、ということ。ものすごく行き届いた流通がこんなにも不具合を起こすことを目の当たりにして、ますます”やってみた”を増やしていきたいですよねぇ。

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伸也:あんなことがあってさ、僕は震災を生き方の軌道修正のキッカケにしないとね、と思った。お金を得るために仕事に行って、膨大な時間を費やして、お金で食べものを買って。その時間を食べものや暮らしをつくるために直接使ったらどうなんだろう、って。いろんなことが、ずいぶん遠回りしているように思えてきちゃったんだよね。札幌に来るまでは野菜をつくったことがなかった。でも、藤田くんに教えてもらったり、見よう見まねで、できてるんだよね。なんとなくだけど。案外、なんでも作れるんだな、って。

―― とはいえ、自給自足をしよう、昔ながらの暮らしに戻ろう。というのは大変です。そこに縛りがあったり、不自由であることを強いられるようなことからはなるべく距離を置きたいですよね。

伸也:この間ベーコン作ったんだけどさ、あれは、大変だ。煙を絶やさずに、2日間とか無理無理。もうハイエースの後ろを燻煙室にしたいくらいだったよ。

ジョニー:俺、ずっと家で作業してるから、それ、できるかも。

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菜衣子:意外な組合せだな。ウェブ制作と薫製…(笑)。働きかたもどんどん変化しているから、組み合わせをどんどん変えて、いろいろ共有できるメンバーがいたら、楽しくて、おいしい暮らしってのはできそうだよね。

藤田:僕は仕事もあるからね。なかなか全部自分でやってというのは難しい。でも、僕は農家をやっていたから、今年は、ジョニーたちも楽しんでできるように、畑の教科書をつくりたいなぁ。

ジョニー:それがあれば、俺できる気がする…。

菜衣子:それはどうかな…(笑)。

ペットよりも牛を飼うほうが簡単!?

菜衣子:この間、「自給の森」で酪農の先生が「場所さえあれば、ペットを飼うよりも、牛や山羊を飼うほうが敷居が低い」って言ってたのには驚いたなー。ペットは飼えなくなったときに保健所に連れて行かなきゃならないけど、家畜は売ったり、食べたり、次があるって。

藤田:なるほどねー。牛と山羊はどっちが飼いやすいって言ってた?

菜衣子:山羊だって。牛は乳が4つ、山羊は2つ。山羊は1人で乳搾りできるってのと、牛は大きいから運んだりするのに、近所に本格的に酪農やってる人がいないと運んだり、エサ運んだりが難しいって。

―― ちなみに「自給の森」というのは、オーガニックな札幌郊外のレストラン「やぎや」の永田夫妻(60代)や、その友人たちが30年前から自給自足な暮らしかたを学ぶために開いている、座学と実践の学びの場。この5人はそこでスタッフをやっています。

伸也:山羊、飼いたいねぇ。人間がたべることのできない”草”を、動物が食べて人間のエネルギーに変えられるってすごくね?しかも、山の除草にもなる。すばらしすぎるでしょ。

全員:飼いたいねぇ。

―― そんな山羊とか牛とか、家畜の話をしていたら、、、乳製品に興味が湧いてきた一同。話がどんどん進んでチーズを作ることになりましたよ。ところで、、、誰か作り方知ってるんでしょうか?

ジョニー:借りて来た本があるよ!

菜衣子:作っているところを見ていたことはある。

安斎夫妻:同じく。

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―― さすがの”やってみた”レベルの高さ!しかも、借りてきた本は、洋書でした(笑)チーズの作り方をジョニーさんが翻訳しながら、とりあえずやってみています。単位も作る規模も違うから、計算に頭がこんがらがっているようです。レシピの1/4の量でつくるので、レンネットの分割も難しい。大丈夫かな、、、。

 

「モッツアレラチーズ レシピ」

材料: 300g(握りこぶし1つ分くらい)

  • 低温殺菌牛乳:2リットル(菌が死んでおらずベスト)
  • ヨーグルト(ブルガリア):大さじ2
  • レンネット(凝乳酵素):0.05グラム

チーズを作るのはものすごいハードルが高いのかと思っていたのですが、モッツアレラチーズを作るのに必要なものは意外と少ない。低音殺菌牛乳、ブルガリアヨーグルト(無糖)、レンネット。これだけ。

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作り方: 

  1. 牛乳を湯煎し35度まで暖める
  2. スターターとしてブルガリアヨーグルトを入れる。小一時間温度をキープする(乳酸発酵)
  3. レンネットを入れる(凝固)
  4. 柔らかめの杏仁豆腐くらいに固まったら、5cm角くらいに切りながら、ホエイとチーズ予備軍に分離させる(失敗の原因はおそらくここで細かく切りすぎたこと!)
  5. チーズ予備軍がさらに固まったら、80度くらいのお湯に入れ、のばす
  6. ⑤でチーズが伸びたら、良い頃合い。のばしながら形を整え、できあがり

ポイント: 

  • ヨーグルトは「ブルガリア」がいいらしい(菌によって向き不向きがある)
  • 5cm角に切るとき、これより大きすぎず、小さすぎずにすること。
  • 薪ストーブの上だと温度管理が難しいので、定期的に温度を測って暑くなり過ぎたら鍋を下ろしたりすること。
  • チーズをつくるときに出たホエイをさらに煮詰めてリコッタチーズもつくれます。とても美味しい!

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菜衣子:うーん、なんか固まりがあまい気がする。

ジョニー:なんでだろ。計算間違ったかな?

菜衣子:うーーーん、先生と作ったときみたいに伸びないよ〜〜〜。

伸也:この間のが絹ごし豆腐なら、これは木綿豆腐だ。

藤田:なんかちょっと違うね〜(笑)。

菜衣子:うーん、どこで間違ったかなぁ。

明子:おいしいよ〜。というか、最初から上手くできたらプロに失礼だし、これでいいんだよ。焼いたらきっと変わらないよ(笑)。

菜衣子:え、そういうもの?(爆笑)

 

(後編につづく)