crosstalk
2014.08.28

暮らしかた冒険家 meets

volume 1竹内昌義×森みわ 「ガマンしない」に貪欲な家

  • Text石神 夏希
  • Photo池田 秀紀

第七回|お金に換算できない暮らしの豊かさ

オフグリッドの暮らしに挑戦している「暮らしかた冒険家」が、『図解 エコハウス』の著書である建築家の竹内昌義さん(みかんぐみ)と森みわさん(KEY ARCHITECTS/一般社団法人パッシブハウス・ジャパン)を訪ね、エコハウスやパッシブハウスについてお話を伺います。 総電力の34%を占めると言われる住宅の冷暖房。家を見つめ直すことで、見えてくる、エネルギーのこと、社会のこと、暮らしのこと。さまざまな視点から、「ガマンしない」に貪欲な家のヒントを探します。
全八回に渡る「「ガマンしない」に貪欲な家」をめぐる対談。第七回は、お金に換算できない豊かさを語っていただきます。火を見る幸せから、話はオフグリッドの方向へ…。

火のまわりに、人は自然と集まる

エコハウス/パッシブハウスのもたらす、お金に換算できない暮らしの豊かさ。それは日々、森さん自身が実感していることでもあります。

森:薪ストーブを点けると、火のそばに自然と人が集まってくる。子どもと炎を眺めながら、その日にあったことを話したり。気がついたら、家族にとってかけがえのないものになってしまいましたね。

改修前は、お友達が遊びに来ると、体の弱い子は風邪を引いてしまうことが多かった森さんの自宅。仕方なく「冬はお友達禁止」と決めたものの、お子さんがとても寂しがるので、心が痛んだといいます。

森:でも改修後、薪ストーブを入れたらお友達がどんどん来るんです。おやつに薪ストーブで焼き芋をつくったら、余った分を持って帰った子が、次はさつまいもを持って遊びに来て(笑)「これはいま食べる分で、これはママに持って帰る分」って。
すごくシンプルで、かけがえのない喜びですよね。本当に、何もかも楽しいんです。


薪ストーブのある大町タウンハウスのリビング。薪のストックは1年分以上蓄えられている。(写真:KEY ARCHITECTS)

薪ストーブのある大町タウンハウスのリビング。薪のストックは1年分以上蓄えられている。(写真:KEY ARCHITECTS)

居心地のいい場所があれば、自然と人は集まる。それを証明するように、あるお施主さんからは「お姑さんがしょっちゅう来て、なかなか帰らない」という、まるでクレームのように聞こえる(?)嬉しいお話も。

森:よほど居心地がいいんでしょうね(笑)。旦那さんが転職のために会社を辞められた時は、お姑さんが「もしもあなたたちがローンを払えなくなったら、私たちが代わりに買うわ!」とまで言ってくれたそうです。
「エコハウスに引っ越したら、妻の年間の美容費が10万円下がった」というご夫婦もいます(笑)。肌が乾燥しにくくなるから、基礎化粧品がどんどん要らなくなったんですね。これまで24℃に設定していたエアコンのカラッカラの風を浴びていた人が、20℃で済むわけですから。

躯体の性能UPに加え、重要な役割を果たすのが熱交換換気システム。24時間365日、CO2やVOC(揮発性有機化合物)、臭いを含む室内の汚れた空気を排気しながら、新鮮な空気に熱だけ戻して取り込んでくれる優れもの。

森:冬に窓を閉めた室内で暖房をつけっぱなしにしていると頭がボーッとしてきます。それは実は、CO2濃度が上がるから。断熱をきちんとして熱交換換気を入れれば、暖かいままCO2濃度を下げられる。幼稚園や小学校に導入すると、子どもの集中力が断然、上がるんですよ。

熱交換換気システムは、暮らしかた冒険家の札幌の家にも設置される予定。竹内さんの見立てによれば断熱も問題なく、電力のオフグリッドは実現できそうなのですが、残る課題は水のこと。

ジョニー:上下水道をどうしようかと思っているんです。井戸を掘るか、雨水や川の水をくんでこようかと思っているのですが。

森:スロービレッジでは井戸を掘りました。あと浄化槽は、「エコロジーコロンブス」というすごい製品がありますよ。バクテリアがその場で飲み水レベルまで浄化してくれる。価格は200万円程で、補助金のつく一般的な浄化槽に比べればイニシャルコストはかかりますが、まったく電気を使わずメンテナンスフリーなので、10年も経てば回収できます。日本にはすごい技術がいっぱいあるんです。

コンポスト「バクテリア de キエーロ」もすぐれもの。土と太陽と風の力で数日かかって生ごみを分解。写真はパッシブハウス・ジャパンに設置されたやや小型の「ベランダ de キエーロ」

コンポスト「バクテリア de キエーロ」もすぐれもの。土と太陽と風の力で数日かかって生ごみを分解。写真はパッシブハウス・ジャパンに設置されたやや小型の「ベランダ de キエーロ」